マイコプラズマ肺炎ってどんな病気なの?
2025年11月13日 木曜日2025年は、マイコプラズマ肺炎が大流行し、長引く咳で多くの子どもが受診しました。そこで、今回マイコプラズマについて、一般の人にもわかりやすくまとめてみました。
マイコプラズマとは?
マイコプラズマは、細菌の仲間ですが 細胞壁を持たない 特殊な微生物です。この特徴のため、普通の細菌に効く抗生物質は効きません。
主に 咳やくしゃみの飛沫で人から人へうつり、家族内感染は 90% に達するとも言われます。潜伏期間は長く、2〜3週間後 に発症することが多いです。
いつ・どんな人がかかりやすい?
・季節:夏〜秋に多い ものの、1年中発生します
・年齢:すべての子どもに発症
・特に 5歳以上の学童〜中高生 で、肺炎の原因としてもっとも多い細菌の1つ
・乳幼児でも感染しますが、風邪のような軽い症状で済む場合があります
大規模調査では、子どもの肺炎の 約8% がマイコプラズマによるもので、その割合は年齢とともに増えます。
どんな症状が出るの?
(1)典型的な症状:ゆっくり始まる風邪のような症状から肺炎へ
マイコプラズマ肺炎は、一般に ゆっくり進行する のが特徴です。
主な症状
発熱(ほとんどの子どもで見られる)
長く続く咳(数週間〜数か月続くことも)
頭痛
のどの痛み
だるさ・食欲低下
息苦しさ
胸の音の異常(医師の診察でわかるもの)
小学生〜中高生で特に多く、体温は高熱のこともあれば微熱のままのこともあります。
(2)たちの悪い“長引く咳”
咳は乾いた「コンコン」という咳で、長く続くことが特徴的です。
(3)上気道症状だけのことも
のどの痛み
鼻水
耳の痛み
など、普通の風邪と区別がつかない症状だけで済む子どももいます。
(4)重症化することは?
多くは軽症〜中等症ですが、重症肺炎 になるケースもあります。
(5)肺炎以外にも症状が出ることがある
マイコプラズマは免疫反応を強く刺激するため、肺以外にも症状が出ることがあります。
代表的なもの
皮膚・口のトラブル(25%)
・発疹
・口内炎
・目の充血
溶血性貧血(赤血球が壊れやすくなる)
脳神経のトラブル(0.1%)
・脳炎
・けいれん
・ふらつき
・ギランバレー症候群
消化器症状
・腹痛
・下痢
・嘔吐
これらが単独で出ることもあり、肺炎が軽くても皮膚や神経の症状が重く出る子どももいます。
どうやって診断する?
(1)検査は必ずしも必要ではない
軽症の子どもの肺炎は検査をしなくても、経験的に治療が成功することが多いため、外来では検査しないことも一般的 です。
(2)検査をするのはどんなとき?
長引く咳
入院が必要な肺炎
呼吸以外の症状(皮膚・神経など)が強い
重症化のリスクがある
(3)行われる検査の種類
迅速検査
血液検査(抗体:IgM・IgG)
胸部レントゲン
治療はどうする?
(1)使える薬・使えない薬
使えない薬
ペニシリン系(アンピシリンなど)
セフェム系(セフトリアキソンなど)
→細胞壁がないため、これらは効きません。
使える薬(細胞の内部を攻撃する薬)
マクロライド系(第一選択)
・アジスロマイシン
・クラリスロマイシン
テトラサイクリン系(8歳以上)
・ドキシサイクリン
フルオロキノロン系(特殊な場合のみ)
・レボフロキサシン
(2)推奨される治療期間
アジスロマイシン:5日間(1日目のみ多く)
クラリスロマイシン:7〜10日
ドキシサイクリン:7日
(3)薬を使わなくても治る?
はい、軽症のマイコプラズマ肺炎は自然治癒することがあります。
しかし 咳が長引いて学校に行けない、肺炎が悪化していく 場合には治療が必要です。
マクロライド耐性とは?
最近問題になっているのが、マクロライド系の薬が効かない菌(耐性菌) の増加です。
日本では地域差がありますが、耐性率は高い地域で20〜50% に達します。
「薬を飲んでも 48時間以上熱が下がらない」
「咳がどんどん悪くなる」
場合、耐性が疑われます。
その場合は
ドキシサイクリン(年齢問わず短期間なら歯の着色リスクは小さい)
レボフロキサシン(最終手段)
などへの切り替えが検討されます。
特別な症状がある場合の治療
(1)皮膚・粘膜の症状(重い口内炎など)
「RIME(ライム)」と呼ばれる重い粘膜症状が出ると、
入院
眼科・皮膚科の治療
などが必要になることがあります。
(2)脳炎などの神経症状
非常にまれですが、死亡例や後遺症が残ることがあります。
治療は
抗菌薬
ステロイド
免疫グロブリン療法
血漿交換
などを組み合わせますが、明確なエビデンスはまだありません。
予後(治るの?)
ほとんどの子どもは 完全に回復 します。
咳は数週間残ることが多いですが、肺炎後の一般的な経過です。
以下の場合は注意
呼吸が苦しい
高熱が続く
意識の変化
皮膚・口の広い範囲のただれ
けいれん
これらは早急に医療機関で評価が必要です。
まとめ
マイコプラズマは 学童〜中高生で多い肺炎の原因
ゆっくり始まり、咳が長く続く
肺炎以外に 皮膚・神経・血液 の症状も
診断は PCR が中心
治療は マクロライド系 が第一選択
耐性の場合は ドキシサイクリン や レボフロキサシン
ほとんどはよく回復するが、まれに重症化あり


