山内診療所の院長が胸部レントゲンで導入したAI読影について講演
2022年3月1日 火曜日だんだん春の兆しがみえてきました(^^♪ 先日、人工知能による胸部レントゲン読影についての講演会があり、 山内診療所の院長と綱島東口内科・糖尿病内科クリニック 院長と一緒に講演しました。
胸部X線画像から肺結節候補域を検出するAIソフトウェア「EIRL X-Ray Lung nodule」による画像診断支援AIの活用法について話をしました。
・AIソフトウェア「EIRL X-Ray Lung nodule」
利用する医療機関は、施設内に「エムスリーエッジサーバー」を1台設置して、そこから様々なAIソフトウェアをPACSメーカーの機種にかかわらず利用できます。
2020年8月からサービスを展開しており、2021年9月現在で全国約200の施設、累積で約100万検査の解析を実施しています。
山内診療所 院長は、「五島という僻地だからこそ活きるAI活用法」という題で講演しました。
山内診療所は五島列島の福江島のほぼ中心に位置している無床診療所で、外来患者数は1日あたり70名程度。在宅支援診療所でもあり、在宅患者数は200名程度。内視鏡件数は年間でおよそ1000件。
肺がん検診は1カ月あたり40−50件程度。うち企業検診が月に10件、そのほか外来が10−20件くらいです。
なぜ山内診療所でAIを導入したのか
読影には見逃しが許されない。人間はミスをする動物であるが、AIは常にバイアスなく読影できる。そこでAIによる読影サポートを導入することで均一のクオリティを担保しようと考えました。
「EIRL X-Ray Lung nodule」の最新モデルは人間の読影医と比べても遜色ない感度・特異度を持っているばかりか、人間を上回るデータも出始めている。
実際にはどのように肺がん検診を運用しているのか
山内診療所では肺がん検診の場合は1次読影のあと、AI読影を確認。
患者さんに1次読影の結果を説明したあと、後日、2次読影(ダブルチェック)を行って再度結果説明をしています。
AI読影によるトリプルチェックを行っていると思ってもらうとイメージしやすいと思います。
AI読影を導入することでコストはかかる?
トータルで赤字になることはなく、むしろ見逃しを少なくするメリットの方が大きいと考えています。また 「AIを導入したことはブランディングにもなる」 と考えており、実際に「AI読影がある」ということで患者さんが来院されることもあります。
実際の症例も示しながら、AI読影の効果を解説
「EIRL X-Ray Lung nodule」は鎖骨と第一肋骨の裏のような見落としやすい領域でも拾ってくれる。またAI読影の指摘によって、より自信を持ってCTを撮ることができた例もある。1次読影したときには「異常がない」と思った症例でもAIの指摘で発見できた例もあり非常に有用である。
ただ欠点として、やや過剰に指摘するので、AIが指摘するものを全てCTに回すことはできないと考えています。
将来は2次読影にAIが応用され、さらに最終的には人間を超える可能性が十分あり、「人手不足・多忙の医療環境で、AIは頼もしい味方になる」 と考えていますと締めくりました。
今後のAIに求めること
「一人で読影する場合は常に不安を抱えていた。AIのサポートは大きな安心感を与えてくれる」
「田舎では施設数が限られている。できればAIのダブルチェックをすることで肺がん検診を認めてくれるようになれば、より多くの患者さんを救うことができるのではないか。より感度・特異度が高いAI が出てくることを期待している」と答えた。