骨粗しょう症は”骨折してから”では遅い病気です ~ビタミンDと適切な治療で、骨を守りましょう~
2025年6月18日 水曜日年齢とともに骨がもろくなり、**ちょっとした転倒や打撲でも骨折してしまう**…これが「骨粗しょう症」です。 特に女性は、閉経後に女性ホルモンが急激に減少するため、骨の量が急激に減っていきます。
背骨が潰れてしまう「圧迫骨折」や、脚の付け根(大腿骨近位部)の骨折は、**寝たきりや介護が必要になる大きな原因**となります。
しかし、こうした骨折の多くは、**予防することが可能**です。
## ビタミンDが骨を守る鍵
骨の健康に欠かせないのが「**ビタミンD**」です。ビタミンDはカルシウムの吸収を助けるだけでなく、骨を作る細胞を活性化させる働きがあります。
血液中のビタミンD濃度(25-ヒドロキシビタミンD濃度)が高い人ほど、**大腿骨や背骨の骨折リスクが低い**ことが研究から分かっています。
ただし、日常の食事や日光浴だけで十分なビタミンDを確保するのは簡単ではなく、特に高齢者では「**ビタミンD不足**」がとても多いことが報告されています。
そのため、骨粗しょう症の予防や治療には、**ビタミンDの補充**が重要です。ただし「どのくらい補充すれば良いか」については、まだ明確な基準がなく、医師と相談しながら補充量を決める必要があります。
## 骨粗しょう症の治療は、薬剤選びがポイント
骨粗しょう症と診断された場合、**骨折リスクの高さ**や**過去の骨折歴**などに応じて、治療薬が選択されます。
主な治療薬には以下のような種類があります。
### ビスホスホネート系薬剤(例:ボナロン、アレンドロン酸など)
骨を壊す細胞の働きを抑える薬で、**最もよく使われる基本の治療薬**です。
飲み薬や点滴があります。週1回や月1回の服用で済むものもあり、通院の負担も比較的少ないです。
### デノスマブ(プラリア)
半年に1回の皮下注射です。ビスホスホネートが使いにくい方や、効果が不十分な方に使われます。
### テリパラチド(フォルテオ、テリボン)・アバロパラチド(オスタバロ)
骨を作る力を高める薬です。**骨折のリスクが高い方**に使われることが多く、自己注射や医療機関での注射が必要です。
### ロモソズマブ(イベニティ)
1か月に1回の注射で、骨の「分解を抑える」と同時に「作る」作用も持ちます。特に重度の骨粗しょう症の方に使用されます。
### 活性型ビタミンD製剤(エディロールなど)やビタミンK製剤(グラケー)
他の薬と一緒に使われることが多く、骨代謝を助ける働きがあります。単独での使用では十分な骨折抑制効果は確認されていませんが、**ビタミン不足が疑われる場合**には併用が推奨されます。
## 一人ひとりに合った治療を
骨粗しょう症の治療薬は、**「年齢」「性別」「閉経の有無」「骨折歴」「他の病気の有無」**などに応じて、最適な選択が必要です。また、薬の形状(飲み薬、注射薬)や頻度(毎日、週1回、年1回)も様々です。
特に骨折のリスクが高いと判断された場合には、**注射薬や骨形成促進薬の使用も視野に入れた治療**が必要になります。
## 骨折を防ぐには、「早期の診断と予防」が大切です
骨粗しょう症は、**骨折してから気づく**ケースが多い病気です。しかし、**骨密度検査による早期発見**が可能であり、治療薬やビタミンD補充を通じて**将来の骨折リスクを確実に下げる**ことができます。
「まだ骨折していないから大丈夫」ではなく、**今のうちに骨を守る準備**を始めましょう。当院では、骨粗しょう症の検診・治療相談を随時受け付けております。お気軽にご相談ください。