骨密度が低いとどうなる?骨粗鬆症の予防と対策を医師が解説
2025年6月1日 日曜日こんにちは! 健康診断や整形外科で「骨粗鬆症」と診断されたとき、皆さんはどんな印象を持たれるでしょうか?「骨が弱くなる病気らしいけど、放っておいても平気じゃない?」「年を取ったら誰でもなるんじゃないの?」と思っている方もいるかもしれません。 実は骨粗鬆症は、見た目には分かりにくいものの、進行すると生活に大きな支障をきたす病気です。本記事では、骨密度が低いとどうなるのか、骨折のリスク、そして今日から始められる予防と対策について詳しく解説します。
・骨粗鬆症とは?
骨粗鬆症とは、骨の密度や強度が低下し、骨がもろくなって骨折しやすくなる病気です。骨は見た目は硬そうですが、実は絶えず「骨の作り替え(リモデリング)」が行われています。このバランスが崩れて、骨を壊す働きが強くなると骨密度が減少し、骨粗鬆症が進行します。
日本では高齢者を中心に患者数が多く、特に女性は閉経後に女性ホルモンの分泌が減少することで急激に骨密度が低下しやすくなります。加齢だけでなく、運動不足や偏った食生活、喫煙、過度の飲酒、ステロイドの長期使用なども原因となります。
・骨密度が低いとどうなるの?
骨密度が低いと、ちょっとした転倒やくしゃみでも骨が折れてしまうことがあります。特に骨折しやすい部位は次の3つです。
背骨(脊椎):圧迫骨折を起こすと、背中が曲がったり、身長が縮んだりします。慢性的な腰痛の原因にもなります。
手首:転んだときに手をついて骨折することが多く、日常生活の動作に大きな支障をきたします。
太ももの付け根(大腿骨頸部):高齢者に多く、骨折後の寝たきりや介護状態に直結する重大な骨折です。
特に大腿骨の骨折は、手術や長期入院を要することが多く、約1割の方が1年以内に亡くなるとも言われています。
・骨粗鬆症の予防と対策
骨を守るためには、日々の生活習慣がとても大切です。以下に、今日から実践できるポイントを紹介します。
食事による対策
カルシウム:骨の主成分です。牛乳、ヨーグルト、小魚、小松菜、チーズなどから摂取できます。
ビタミンD:カルシウムの吸収を助ける栄養素です。きのこ類や鮭、サバ、卵などに多く含まれ、日光を浴びることで体内でも合成されます。
たんぱく質:骨や筋肉を作る材料になります。肉・魚・大豆製品などをバランスよく摂りましょう。
ビタミンK:骨の形成を助けます。納豆や緑黄色野菜に多く含まれます。
運動による対策
運動は骨に適度な刺激を与え、骨密度を保つためにとても有効です。
ウォーキング:無理なく続けられる有酸素運動
階段の昇り降りやスクワット:下肢の筋肉と骨に良い刺激を与えます
筋トレ:筋力を維持することで転倒予防にもつながります
日光浴
ビタミンDの生成には日光が必要です。1日15~30分程度、手や顔に日光を浴びることを意識しましょう。過度の日焼けは避けつつ、日光を味方につけましょう。
薬による治療
骨密度が低く、骨折リスクが高いと診断された場合、医師から薬物療法が勧められることがあります。治療薬には骨の吸収を抑える薬や、骨の形成を促す薬などがあり、定期的な検査と医師の指導のもとで服用を続けることが大切です。
・骨粗鬆症になったらどうすればいい?
もし骨粗鬆症と診断されたら、落ち込むのではなく、「骨折を防ぐチャンス」と前向きに捉えましょう。骨密度の改善は、食事・運動・薬を組み合わせることで可能です。
また、転倒予防のために、以下のような環境整備も重要です。
室内の段差をなくす
滑りにくいマットや手すりを設置する
夜間トイレへの動線に足元灯をつける
・まとめ
骨粗鬆症は、年齢とともに誰にでも起こり得る病気ですが、適切な知識と生活習慣の見直しで、骨折を防ぐことができます。大切なのは、「まだ大丈夫」と油断せず、「今からできることをコツコツと」始めることです。
見えない骨こそ、毎日のケアが将来の生活の質を左右します。今日から始める骨活、一緒に頑張ってみませんか?