インフルエンザワクチンの種類と効果と安全性について

2024年10月29日 火曜日

インフルエンザは毎年流行する感染症で、特に秋から冬にかけて猛威を振るいます。インフルエンザにかかると、高熱や体の痛みが出るだけでなく、重症化して入院が必要になるケースもあるため、ワクチン接種が予防の基本です。  今年も、2024-2025年シーズンに向けてワクチンの接種が始まりました。しかし、ワクチンの種類が複数あるため「どれを選べばいいの?」と迷う方も多いのではないでしょうか。また、効果や安全性についても「どのくらい効くの?」「副反応は?」といった疑問があるかと思います。  この記事では、インフルエンザワクチンの基本情報や効果、安全性について分かりやすく解説します。今年も健康を守るために、インフルエンザワクチンについてしっかり理解し、早めの対策を考えましょう。  Up to dateのSeasonal influenza in children: Prevention with vaccinesの2024年9月に行われた最新の文献レビューを参考に記載しています。

インフルエンザワクチンの種類と効果と安全性について

インフルエンザワクチンの種類と接種方法(2024-2025年)
2024-2025年シーズンに向けたインフルエンザワクチンの接種方法と種類について、どなたにも分かりやすくまとめました。インフルエンザは毎年流行するため、定期的なワクチン接種が推奨されており、特にお子さんや高齢者、持病のある方にとって大切な予防策です。

1. ワクチンの種類と適応年齢
インフルエンザワクチンにはいくつかの種類があり、年齢や健康状態に応じて適切なものが選ばれます。

IIV3(従来の不活化ワクチン): 6か月以上の全年齢に対応しており、持病がある方でも接種可能。
LAIV3(2024年から登場した鼻から投与する生ワクチン): 2歳から18歳までの非妊娠者向け。
ワクチンの種類によって、年齢や健康状態による制約がありますので、医師と相談して最適な種類を選びましょう。

2. ワクチンの選択と注意点
インフルエンザワクチンは、特に以下の方には、IIV3(従来の不活化ワクチン)が推奨されています:

6か月から2歳までの子供(LAIV3はこの年齢には未承認)
持病を持つ5歳以上の子供(特に喘息など)
LAIVに適さない子供や医療上の理由で不活化ワクチンが必要な方
健康状態や年齢に制限のない2歳以上の子供については、従来の不活化ワクチンとLAIV3(2024年から登場した鼻から投与する生ワクチン)のどちらも選択可能です。保護者や医師と相談し、最も適した方法を決めていくことが重要です。

3. 接種スケジュール
インフルエンザワクチンは毎年接種が必要です。これは、前年のワクチンで得られた免疫が1年ほどで低下するためです。理想的には、インフルエンザ流行の始まる前(北半球では10月末まで)に接種することが推奨されます。

9歳以上の子供: 毎シーズン1回の接種が必要。
6か月から8歳までの子供: 初めてインフルエンザワクチンを接種する場合、2回の接種が必要。1回目を早めに接種し、4週間後に2回目を受けるのが理想的です。

インフルエンザワクチンの種類と効果と安全性について

インフルエンザワクチンの効果と安全性について
毎年のインフルエンザ予防に効果が期待されるインフルエンザワクチンですが、その効果と安全性についてまとめました。ワクチンはインフルエンザ感染による重症化や入院、死亡のリスクを減らすため、多くの人にとって大切な予防策です。

1. インフルエンザワクチンの効果
ワクチンの効果は、接種したワクチンと実際に流行するインフルエンザウイルスの「適合性」に大きく依存します。ワクチンとウイルスの一致度が低い場合、効果も低くなる傾向がありますが、適合が良い場合は、感染防止効果が高まります。

感染予防効果
ランダム化試験のデータによると、不活化ワクチン(IIV)は感染を65%予防し、生ワクチン(LAIV)は80%予防できるとされています。また、2023-2024年シーズンでは、インフルエンザA(H3N2およびH1N1)に対するワクチン効果は46〜59%、インフルエンザBに対しては64〜89%とされました。

重症化予防
ワクチン接種は入院や重症化のリスクも減少させます。データによれば、6か月から17歳の子どもにおけるインフルエンザ関連の入院予防効果は約53%で、特に5歳以下の子どもでは62%の予防効果が報告されています。

死亡予防効果
インフルエンザワクチンは、インフルエンザ関連死の予防にも効果があることが確認されています。2010-2014年のデータによると、基礎疾患のない子どもでは65%、基礎疾患のある子どもでは51%の予防効果がありました。

2. ワクチンの安全性と副反応
インフルエンザワクチンは、通常安全であるとされていますが、一部の軽度の副反応が見られることがあります。

不活化ワクチン(IIV)の副反応
IIV接種後、注射部位に痛みや腫れが生じることが一般的で、重篤な副反応はまれですが、2歳以下の子どもが肺炎球菌ワクチンやジフテリア・破傷風・百日咳(DTaP)ワクチンと同時に接種した場合に、発熱性けいれんのリスクが増加することがあります。

生ワクチン(LAIV)の副反応
LAIVは鼻から接種するため、鼻づまりや軽い発熱が起こることがあり、通常、接種後3〜4日でピークに達します。また、喘息や呼吸器疾患がある5歳未満の子どもで投与すると喘息の症状が悪化する可能性があるため注意が必要です。

ウイルス排出と感染伝播
LAIVは、接種後にウイルスが体外に出ること(ウイルス排出)が一時的に見られる場合がありますが、他者に伝播するリスクは非常に低いとされています。

3. ワクチンの選択
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)および米国小児科学会(AAP)は、不活化ワクチンまたは生ワクチンのどちらのワクチンも選択可能としています。どちらが最適かについては、個々の状況や医師の判断に基づきます。

まとめ
インフルエンザワクチンは、感染予防だけでなく、重症化や死亡のリスク軽減にも効果的です。特に、小児や高齢者、基礎疾患を有する方には定期的なワクチン接種が推奨されています。ワクチンの種類や接種スケジュールについては、医師に相談の上、最適な方法を選びましょう。

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